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2025年10月31日

治療抵抗性うつ病の新薬、国内臨床試験で有効性を確認 承認申請へ

治療抵抗性うつ病の新薬、国内臨床試験で有効性を確認 承認申請へ

国内製薬大手の武田薬品工業株式会社は10月31日、治療抵抗性うつ病(TRD)に対する新規治療薬の国内第III相臨床試験において、主要評価項目を達成したと発表した。この新薬は、既存の抗うつ薬とは異なる作用機序を持ち、従来の治療で効果が得られなかった患者への新たな選択肢として期待されている。

治療抵抗性うつ病は、2種類以上の抗うつ薬による適切な治療を行っても十分な効果が得られない状態を指し、うつ病患者の約30%が該当するとされる。現在、国内ではエスケタミン点鼻薬やブレクスピプラゾールによる増強療法などが承認されているが、治療選択肢の拡充が求められていた。

今回の臨床試験では、18歳から65歳までの治療抵抗性うつ病患者約300名を対象に、新薬の有効性と安全性を評価。プラセボ群と比較して、うつ症状の改善度を示すMADRS(モントゴメリー・アスベルグうつ病評価尺度)スコアにおいて統計学的に有意な改善が認められた。副作用プロファイルも良好で、重篤な有害事象の発生率は低かったという。

同社は2026年初頭に厚生労働省への承認申請を予定しており、順調に進めば2027年中の承認取得を目指す。精神科医からは「治療選択肢が増えることで、より多くの患者さんに適した治療を提供できる可能性がある」と期待の声が上がっている。

情報源: 日経バイオテク

著者: 医療編集部

参考URL: https://bio.nikkeibp.co.jp/